地元のプロバスケットボールチームをケアするのは地元の治療家集団だった


2012年夏に、日本のプロバスケットボールリーグ、bjリーグ21番目のチームとして誕生した群馬クレインサンダーズ。この地元チームを全面的にバックアップしているのが、整骨院グループのGENKIDOだ。プロバスケットボールチームというビッグマンたちを日々、どのようにサポートし、どんなことを心がけているのか、治療家・コーチ・選手それぞれの立場から話をうかがった。

群馬に誕生したプロバスケットボールチーム

群馬クレインサンダーズ

野球、サッカーに次ぐ第3のプロスポーツとして、2005年に開幕したプロバスケットボールリーグのbjリーグ。その21番目のチームとして、2012年の夏から群馬クレインサンダーズが加わり、地元の熱い声援を受けながら、現在、2012-2013シーズンで毎週、熱戦を繰り広げている。

bjリーグは、ホームタウン制、地元密着型経営を目指したプロリーグで、北は秋田、仙台から南は沖縄まで、日本各地にそれぞれの地元チームが存在する。現在は日本を東西に分け、東日本をイースタン、西日本をウェスタンとして2つのカンファレンスで戦い、それぞれプレイオフを経て、bjリーグ2012ー2013シーズン プレイオフ ファイナルズで上位各2チームが頂上決戦を行う。

群馬クレインサンダーズは、2012年から新規チームとしてイースタン・カンファレンスに参戦しているまだでき立てのチームだ。この群馬クレインサンダーズのオフィシャルパートナーに名を連ねるのが、群馬県伊勢崎市に本社を持つ大手整骨院グループ、株式会社GENKIDOである。GENKIDOは、以前から地域貢献の一環として地元のさまざまなスポーツ振興をサポートしている。群馬にbjリーグのチームを持つことで、プロスポーツを通じた地域社会の活性化を図り、ファンと一体化した新たなコミュニティづくりを目指している。

選手のコンディショニングと治療を一手に担当するGENKIDO

GENKIDOによる施術

プロバスケットボールチームをサポートする上で欠かせないのが、所属選手のボディケアだ。2メートルを優に超すような巨体がぶつかり合うプロバスケットボールの試合は、肉体的にとても過酷なもの。試合前後のケアはもちろんのこと、日々の練習時でも入念なボディケアが選手には必要になる。その重責の一端を担っているのが、げんき堂整骨院 伊勢崎鹿島町院長、上田秀幸先生だ。

上田先生は、チームが地元で練習、試合をするときは必ず現場で待機し、チームドクター、アスレチックトレーナーと連携しながら選手のコンディショニングやテーピングなどを行い、身体をケアしている。『ヒポクラテス』の取材班がおじゃましたときも、練習場となっている市内の体育館にマッサージベッドを持ち込み、いつでも選手のケアができるようにスタンバイしていた。

現在、群馬クレインサンダーズは、ホームゲームがあるときは少しでも多くの地元群馬のファンに観てもらうべく、県内のあちこちの体育館で試合をしている。そこでは県内にある最寄りのGENKIDOの整骨院からサポート部隊が駆け付け、上田先生を中心にしたケアスタッフチームが選手のコンディショニングやテーピングなどを行う。アウェイゲームでチームが地方遠征へ行くときは、遠征先にあるげんき堂整骨院のスタッフが現地で待機していて、さまざまな処置を迅速に行える体制をつくっている。万一、選手が遠征先でケガをした場合も現地のスタッフがすぐに治療にあたる。ケアスタッフのネットワークもbjリーグ同様、日本全国に張り巡らされているのだ。

それでは実際に、上田先生たちの活躍はチームにどんなプラスを生み出しているのだろうか。上田先生と、群馬クレインサンダーズのライアン・ブラックウェルヘッドコーチ、岡田慎吾キャプテン3名に鼎談という形でお聞きした。

ライアン・ブラックウェルヘッドコーチライアン・ブラックウェルヘッドコーチ 1976年生まれ、アメリカ・イリノイ州出身。フランス、アメリカ、ポルトガル、イングランド、ウルグアイと世界各地のチームで活躍後、2000年に来日、bjリーグのトッププレイヤーとして活躍。2010~2012年大阪エヴァッサのヘッドコーチを経て、2012年11月、群馬クレインサンダーズのヘッドコーチに就任した。

岡田慎吾岡田慎吾キャプテン 1983年生まれ、群馬県桐生市出身。國學院大學卒業後、オ―エスジーフェニックス東三河に入団し、ガードとして活躍。その後、ヘルニアの手術を経て、地元群馬のクレインサンダーズに入団。現在はチームを引っ張る牽引車として大活躍している。

上田秀幸上田秀幸先生 (株)GENKIDO取締役兼げんき堂伊勢崎鹿島町の院長。現在は群馬クレインサンダーズのケアチームの中心として、チームをサポート。チームが地元にいるときは、練習から試合までチームに帯同し、選手をケアしている。

目指すのは、ケガのないトレーナーいらずのチーム

bjリーグでもこれほどのケア体制を持つチームはない

ライアン・ブラックウェルヘッドコーチ:私は日本で選手、ヘッドコーチになる前にヨーロッパや南米でプレイした経験もありますが、これだけ徹底して選手の身体のケアをしてくれるチームはそうありませんね。多くの場合、チームトレーナーは1人いればいいほうで、いないチームもあります。

岡田慎吾キャプテン:チームトレーナーがいたとしても、13人から15人もいるチームの選手全員をケアすることはできませんしね。以前は、選手は自分で自分の身体をケアするのは当たり前でした。しかし、このチームでは練習中はもちろん、遠征先でもげんき堂の先生たちがバックアップしてくれている。bjリーグの他チームの選手には羨ましがられますよ。 ヘッドコーチの私としては、上田先生を中心にしたこのケア体制はとても心強いですね。コンディショニングだけでなく、ケガしたときには治療をしてもらえる。鍼灸に関しては、僕としてはちょっと苦手ですが…(笑)。

上田秀幸先生: 外国人選手は鍼灸をやりたがらない人が多いですね。母国に東洋医学の文化がないのかもしれませんね。でも、最近はNBAでも鍼灸が取り入れられていますよね。今季のリーグでは選手に大きなケガもなく順調に戦えています。これはGENKIDOのスタッフによるケアが行き届いているから。私たちはプレイオフを目指してがんばるだけです。バスケットボール選手のケアでは、腰、足首のケガがポイントとなる。

上田秀幸先生:バスケットボールは体幹を使うスポーツで、腰がとても重要なんです。それだけに、私としては腰の筋肉の負担を軽くする施術を常に心がけています。また、足首のケガも多いスポーツなので、足首に負担がかからないように身体全体を柔らかくするトレーニングを促すことも重要です。

岡田慎吾キャプテン:特に外国人選手は、日本人選手に比べて身体が固い人が多い気がしますね。一緒にプレイしていて思います。

ライアン・ブラックウェルヘッドコーチ:もしかすると食習慣も関係しているかもしれません。外国人選手より日本人選手のほうがヘルシーな食事をとっていると思います。

岡田慎吾キャプテン:僕が前いたチームでは食事管理も行っていました。その名残か、いまでも食事には人一倍、気をつけています。

上田秀幸先生:栄養が十分に足りているかどうかでも、コンディションは変わりますからね。

岡田慎吾キャプテン:僕は以前ヘルニアの手術を受けていることもあり、コンディション管理の大切さは身をもって感じています。土日の試合から明けた月曜のオフにはこまめに整骨院に行って身体のメンテナンスやケガの治療をしているんです。

ライアン・ブラックウェルヘッドコーチ:そうしたバックアップがあることは選手にとって理想的な環境です。常に十分なケアが行き届いているから、思い切ったプレイができる。選手が余計な不安を抱えず、試合に集中できるので私がチームビルディングをする上でも治療家は欠かすことのできない存在だと感じています。

身体を、選手を知り尽くしている治療家こそ信頼できるパートナー

GENKIDOストレッチ

上田秀幸先生:私たちは選手の身体をケアすると同時に、精神面のケアも大切にしたいと思っています。一人ひとりの選手のメンタル面もフォローできるよう、私たちから声をかけたりして、常にコミュニケーションをとるように心がけています。こうして、身体だけでなく心の状態も把握してケアすることが、選手たちとの信頼関係を築くことに繋がるからです。いつも陽気な選手が今日はちょっと元気がないぞとか、いつも物静かな選手が冗談をいったりしたときは、何かいいことがあったのかなとか。会話のなかから選手のメンタル面を判断して、選手を励ましたり、勇気づけたり、試合に向けて心の状態もアップできるようにしていければと思っています。

岡田慎吾キャプテン:アスレチックトレーナーも治療家のスタッフも、こまかいことをいわなくてもすぐに気づいてくれるといいですね。今日は腰がちょっと重いとか、脚がだるいとか、自分で説明しなくて身体をさわっただけでその変化を理解し対応してくれる。それは選手一人ひとりの身体のくせや特徴をよく分かっているからこそ、できることです。「今日は腰がはっているから施術はこうしよう」とか、その時の状態に合わせてケアしてもらえると、選手としてはとても信頼できる。この人に診てもらっているから大丈夫という気持ちになるものです。

ライアン・ブラックウェルヘッドコーチ:一流の治療家は、ビジネスライクなケアではなく、親身にケアを行ってくれます。選手を助けたいという気持ちを持った治療家こそ、プロスポーツ選手のベストパートナーなのではないでしょうか。

上田秀幸先生:コーチや選手が目指すのが勝利でありプレイオフの出場なら、私たちケアスタッフが目指すのは、ケガをしない、究極的には「トレーナーのいらないチームづくり」です。そのためには選手一人ひとりの日々の心がけやセルフケアも大切になってくると思いますが、私たちもできるだけのサポートを選手にしてあげたいと考えています。愛すべき地元である群馬に生まれた、愛すべきプロバスケットボールチームをもっと盛り上げていくためにも、GENKIDOスタッフもチームの一員としてがんばっていきます。

選手と治療家という絆、チームとケアチームという絆。この2つの絆で結ばれている群馬クレインサンダーズとGENKIDO。その中心にあったのは上田先生のがんばりだった。

あわせて読みたい関連記事