世界で活躍するJリーガーを育てるには、優秀な治療家が必要だ


自ら日本代表選手として、Jリーグ・ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)の監督として、そしてサッカー中継の熱血解説者として、数十年にわたり、日本のサッカーを強くすることを考えてきた。松木安太郎氏は提言する。世界で活躍するJリーガーを育てるには、サッカーを理解する優秀な治療家が必要だ。そして彼の思いに応える1人の治療家と出会った。

今やコーチや監督よりもプロサッカー選手にとって重要なのは治療のできるサッカートレーナーの存在だと松木安太郎は言う。 「世界のトップチームは、リーグ戦の他にカップ戦や国の代表ゲームなど、とにかく試合数が多いんですね。日本でもJリーグの他に、ナビスコカップやアジア大会、オリンピック、ワールドカップなどの予選、アジアチャンピオンズリーグなどの国際大会が目白押しです。シーズンに入ると代表クラスのトップ選手は、週2回の割合で試合をしなければなりません。ここで常にトップコンディションを維持するのは大変なこと。戦術やフォーメーションの練習も大切ですが、それより選手の体のケアがしっかりできていないと、Jリーグでは戦えません。そういう意味で言うと、コーチより、監督より、選手の体のケアをするトレーナーのよしあしが試合を左右すると言えるでしょうね」

サッカートレーナーが勝敗を左右する。

 「僕がヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)の監督をしていたときは、毎日、練習前に選手の状態についてトレーナーからの報告を聞き、その日の試合に使える選手、使えない選手を選別していました。選手が信頼できるトレーナーは、選手の体の状態を正確に把握しているので、監督としても信頼できる。また、ケガをして戦列を離れている選手がいつ戻ってくるのか、監督としては常に把握していなければなりません。単なるマッサージトレーナーではなく、自ら選手のリハビリメニューがつくれる治療家のトレーナーが専属でいることは心強いですね」

サッカーを理解し、サッカー選手に信頼される人。

実際に、プロフェッショナルなサッカートレーナーとはどういう存在なのか。他のスポーツトレーナーとはどこが違うのか。それはサッカーという競技の特性、プロサッカー選手の体をどこまで理解しているかにつきると松木氏は言う。  「普通のスポーツトレーナーの人がプロサッカー選手の膝をケアしたとします。すると膝がとてもゆるいことにきっと驚くでしょう。こんな膝では試合に出ては危ないと思うかもしれません。でも、サッカーを知っているトレーナーなら、少しぐらい膝がゆるくても大丈夫なことを知っています。この程度のゆるみなら試合に使える、ここまでいくとリハビリが必要という判断を的確にできる。これが僕の考えるプロフェッショナルなサッカートレーナーの力です。選手は誰でも少しぐらいのケガや打撲なら試合に出たいと思っています。でも、試合に出ることでさらに悪化する危険性があるか、がんばっても大丈夫かの判断は自分ではつきません。それをきちんと見分けることができるのが優秀なトレーナーです。何も自分でサッカーをやっていなくても、プロサッカー選手の体を熟知している人なら、その判断はできます。たとえば試合である選手がケガをした場合、その日のうちに信頼できる医院でレントゲンを撮り、すばやく的確な治療を施せば、治るまでの時間がかわってきます。こうしたプロの判断や施術が、見えないところでチームに貢献してくれる。良いサッカートレーナーを持つことは、チームにとって大きな戦力だと僕は思います」 そう語る松木氏が素晴らしいサッカートレーナーと太鼓判を押すのが、木場克己トレーナーだ。木場トレーナーは、日本代表で現在イタリアリーグのインテル・ミラノで活躍する長友佑都選手の体を再生させた個人トレーナーだ。  「木場トレーナーとは最近、僕の友人を通じて知り合いましたが、彼は僕が思う理想的なサッカートレーナーの資質をすべて備えた人です。ご自身はレスリングと柔道の選手だったそうですが、サッカーのことを本当によく勉強されていますね」

長友佑都選手を再生させた凄腕個人トレーナー。

「FC東京時代の長友選手はボールが蹴れないほどヘルニアで苦しんでいたのですが、木場トレーナーは長友選手の個人トレーナーとして根気よく、彼の体を根底から鍛え直した。そして日本代表としてワールドカップに出場して大活躍、イタリアの名門インテル・ミラノに移籍し、いまや世界的な選手になりました。彼のようなトレーナーがもっとJリーグで活躍してくれれば日本のサッカーがもっと強くなるのではないでしょうか」

あわせて読みたい関連記事