真剣勝負をかさねた数だけプロは強くなれるんです。


治療家の毎日はまさに患者さまとの真剣勝負。今回のプロフェッシナルは女流囲碁棋士として活躍する吉原由香里さんです。勝負の世界に生きるプロの心構え、自らを高める極意など、プロの治療家にとっても有益なお話をお聞きしました。

プロの世界は結果がすべて。頼れるのは自分だけ。

私たちプロの囲碁棋士は勝負に勝つことが仕事なんですね。まずこの世界に入るのもプロ試験のトーナメント戦に勝ち残れないとダメ。私も何回も何回もチャレンジしました。  年に1人か2人という本当に狭き門で、晴れてプロ試験に合格すれば、そこにはまた真剣勝負の日々が待っています。プロのリーグ戦で勝ち進めば、段位も収入も上がるし、頂上のタイトル戦にもチャレンジできる。勝つか、負けるか。結果がすべてのプロ囲碁棋士の世界は、とても分かりやすい世界といえますね。  そういう意味でいうと、治療家の方々も同じではないかと私は思いますよ。  私も首や肩がよく凝るのでけっこうお世話になるのですが、治せるか、治せないか、治療家の方もすぐに結果が出てしまう。そこはやはりプロの真剣勝負になっている。頼れるのは自分の実力だけ。プロの世界はどこでも厳しいものなのですね。

自分の限界は自分で破っていくもの。それがプロの流儀。

プロの世界に入った当初は、私にとってタイトル戦なんて夢の出来事のように思っていました。とにかく目の前の一局に全力投球するだけ。それでも勝つときもあれば、負けるときもある。負けたときはなぜ負けたのかを、とことん研究しました。自分だけの確認ではなく、師匠や先輩たちにもアドバイスをもらいました。すると自分が考えもしなかった打ち方や新たな発想が見えてくるのですね。負けた碁から多くのものを学びました。こうして目の前の一局をコツコツと勝つことを目指しました。すると、だんだんと対戦相手も強くなり、さらに勝ちたいという思いが強くなっていったのです。気がついたら、夢の出来事だと思っていたタイトル戦にもチャレンジでき、とうとう2007年に女流棋聖のタイトルをとることができました。  限界とは自分で破っていくものだとつくづく思いました。それも少しずつ超えていくことで、自分自身が変わっていくことを自覚できたように思います。いままでタイトル戦で戦う人は自分とは違う世界の人だと思っていたのが、実際に対戦してみると、この人たちも自分と同じだと思えてきました。けっして特別な存在じゃないぞと。それだけ自分の実力がついた証しなんでしょうが、こうした感覚は勝負事にはとても重要ですね。精神的にも強くなっている自分が分かりました。  これからプロを目指す人、さらにプロとして自分を高めたいと思う人は、とにかく真剣勝負をたくさんすること、そして常に自分の限界を上げていくことが大切だと思います。

自分のコントロールする力。慢心とプライドの功罪。

あるレベルのプロになった方にとって落とし穴になるのは慢心だと思いますね。私も段位が下の人との対局で、ちょっとした油断から手痛い目に遭うことがあります。この人には絶対に負けられないというプレッシャーばかりが先に立ち、勝負どころの勘が鈍ってしまうのです。そんなときに、思わぬミスをしてしまう。やはりこれも慢心の結果といえるでしょう。軽く勝てるとか、絶対に負けられないとか、へんな気負いが平常心を失わせて、冷静な判断ができなくなってしまうわけです。  それでスランプになってしまうこともあります。ミスを反省することは必要ですが、ミスにとらわれてばかりいると今度はマイナス思考に陥ってしまいます。そんなときはちょっと勝負の世界から離れることも重要ですね。私の場合は、趣味のパンづくりに熱中するとか、他のことで頭をリフレッシュさせるように心がけています。  それともう1つ大事なことは自分にプライドを持つこと。こんな自分では恥ずかしいという思いが、落ち込む心を踏みとどまらせ、新たなやる気を生むきっかけになります。きっとプロの仕事をなさっている方は、みなさんそうではないでしょうか。プライドはいろんな困難を乗り越える大きな原動力だと私は思っています。

教え01 真剣勝負をたくさんすべし!

頼れるものは自分しかいないという状況で、「真剣勝負」といえる仕事をとにかくたくさんすること。それが実力を身につける最良の方法である。プロフェッショナルに近道なし!

教え03 プロのプライドを持つべし!

プロとして自分を高めていくには、自分の限界を常に超えていくことが肝心。今日より明日、今月より来月と、少しずつ自分の限界バーを上げていく努力を続けよう!

教え03 プロのプライドを持つべし!

自分が選んだ道、自分が全うしたい仕事であることを常に自覚しよう。その道のプロとしてふさわしい自分であるかどうか。プライドが、くじけない、逃げない心を鍛えてくれる!

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