人材」は自分で育ててこそ価値がある


誰もが頭を悩ませているよい人材を確保すること

独立して治療院の経営を始めるとき、多くの人が直面する課題は人材の確保でしょう。最初は自分1人でもなんとかできるとがんばるのですが、患者さまが増えてくるとそれも限界。やはりスタッフを雇い入れなければ経営が成り立たないことに気づき、スタッフ募集に踏み切ります。
さあ、ここからが本当に大変。いくら待っていても、なかなか人が来ない。やっと来てくれても思っていたような人はまず来ない。技術は勉強中で、接客もできない。強く叱ったり、注意したりすると、すぐにやめてしまう。そんな現実がありませんか。
独立したての院が、優秀なスタッフを十分に確保することは大変難しいことです。それでは、どうすればあなたの院の戦力となる人材を確保することができるでしょうか。今回の経営指南は、そうした誰もが頭を悩ませている「人材」について話をしたいと思います。

即戦力の優秀な人材はまず来ないものと考えよ

名前は聞いたこと無いけれど、この院はよさそうだ

経営者の立場であるあなたからすれば、即戦力となるよい人材を確保し、理念を共有し、よい業績をつくりたいと思うのは当然です。それでは、立場を変えて、これから就職を希望するスタッフの側から見たらどうでしょうか。あなたの院は通勤に便利なターミナル駅の近くにありますか。十分な福利厚生が整っていますか。教育システムは充実していますか。多くの院が、こうした就職する側にとってのメリットを十分に完備できていないものだし、それが普通だと思うのです。国家試験に合格した多くの新卒者は、より安定を求める傾向が強くあり、規模の大きなグループや、福利厚生の充実した院への就職を希望しがちです。こうした現状からも、人材確保が実に困難であることがうかがえます。

だからこそ、あなたの院へ就職したくなる〝理由〟を磨きましょう。語弊があるかもしれませんが、優秀な人が突然たくさん応募してくる魔法はありません。過度な期待は禁物です。あなたは、優秀な人を選り好んで雇おうとするのではなく、来てくれた人とより素晴らしい院内文化を育てていく努力をする必要があるのです。この努力をあきらめずに継続し続けることが、結果として繁盛院へと成長する道になり、優秀な就職希望者が勝手に集まってくるようになっていくのです。

採用募集はホームページで差をつけよう!

最初は誰でも知名度がありません。求人誌に求人条件を出しただけでは反応がなくて当たり前。だからこそ、私が誰で、何を考えていて、どんな院をつくろうとしているのかを「知ってもらう」必要があります。それには、インターネットを利用するのがコストの安い方法です。集客目的ではなく、求人目的のホームページを開設するのです。

私がオススメするのは、できるだけあなた自身の想いや院の理念・ビジョンをそこで発信することです。他と違う自院の個性を思いっきりアピールする。見る人が「共感、共鳴」するようなメッセージを心がけ発信し続けることです。
さらに、そのホームページを見てくれる人を増やす努力をしましょう。それらの継続があなたの院に優秀なスタッフを導く結果につながります。

スタッフとの関係は尊敬できる良い先生がベスト

スタッフとの関係性

ホームページを見て問い合わせの電話が来るようになったら大成功。相手はあなたの想いや人となりを知っていますから、面談もスムーズにいくでしょう。あなたの熱意ややる気に共感してくれる人なら、必ずよいスタッフになってくれるはずです。できれば学生のうちにアルバイトなどで、先に働いてもらうのが最善ですが、それがムリなら、本採用の前に必ず何回か院に来てもらいましょう。国家試験に受かったといっても、彼らは治療家としてはまったく白紙です。あなたの働きぶりや患者さまへの接客など、事前によく見ておいてほしいからです。数回経験するだけでも、本人の安心感ややる気が違ってくるはずです。

晴れて念願のスタッフを雇い入れたあと、注意したいのはそのスタッフとの関係です。コミュニケーションはとても大切です。コミュニケーションとは人間関係の構築です。スタッフと仲よくすることが目的ではありません。よりよい院を創造し、患者さまに喜んでいただくことが真の目的です。ですから、経営者は常に院の目的を明確に意識してスタッフとのコミュニケーションをとる必要があります。そして、1番大切なことは、仕事の「手順方法」を教えることより、仕事の「意味と価値」を教え、それをすることの「やりがい」と「素晴らしさ」をスタッフに感じさせることなのです。

スタッフの得意な分野で院の仕事をまかせよう!

技術を早く覚えてもらって、少しでも早く戦力になってほしいという現実的な願いはよくわかります。大切なのはそうなるための「マインドセット」すなわち、原動力です。マインドセットがしっかりできると人は持っている力を最大限に発揮できます。
例えばそのスタッフがイラストやデザインが好きな人なら、店内のポスターなどの制作をまかせましょう。写真が好きでコンピュータに強い人なら、ブログや患者さまへのパンフレットをつくってもらうのもいいでしょう。自分がこの院で必要とされているという自覚がスタッフを積極的にし、技術の習得も、接客もどんどん上達するものです。

人間は、自ら気づき、感動し、そして行動することで成長します。自分自身が成長していることを「実感」することで「思いやり」が生じ、それがさらなる「やりがい」を創造する。そうなれば、人は自然に成長していきます。あなたがすることは、この仕事をする「意味と価値」をスタッフの身体にインストールすることです。本当のよい人材とはあなたが出会いの場をつくり、ちょっとしたきっかけを与えて育てていくものなのです。

清水流経営 自分の想いを共有し、育てたスタッフこそ強い治療チームが完成する。